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シナプスのお相手をGFPの再構成により知る

GFP Reconstitution Across Synaptic Partners (GRASP) Defines Cell Contacts and Synapses in Living Nervous Systems
Neuron. 2008 Feb 7;57(3):353-63.
Evan H. Feinberg, Miri K. VanHoven, Andres Bendesky, George Wang, Richard D. Fetter, Kang Shen, and Cornelia I. Bargmann

 方法の論文をナナメ読み、例によって不備があるかとは思います。

 GFP Reconstitution Across Synaptic Partners (GRASP)という方法、これだけだと若干意味不明。GFPの一部を"fragment"とし、二種類のfragmentを別々の細胞に発現させる。一つ目のfragmentは1番-214番残基(spGFP1-10)、二つ目のfragmentは215番-230番残基(spGFP11)、どちらかだけでは光らないが、光らせるにはこれらの2つのfragmentのinteractionで十分らしい。
 そこで二つの細胞にそれぞれを発現させれば、細胞同士が近接しているところではspGFP1-10とspGFP11がinteractionし、GFPの蛍光が観察されるに違いない!?実際には、発現させただけでは細胞のどこに局在するのかは制御できない。細胞間のinteractionを見る場合には細胞外へとこれらのfragmentが向かせるような工夫が必要。


基本的には図1で語りつくされている。

 まずT cell proteinであるCD4にspGFPをくっつけると2種類のfragmentは細胞外へと出される。そして、細胞同士が近接している場合にはそれぞれが結合し、発色団を形成する。例えば、CD4::spGFP1-10を発現している細胞とCD4::spGFP11を発現している細胞が近接していると蛍光を発する(図1Aの左)。

 しかし、これでは細胞同士が近接していることを検出する場合は十分なのだが、シナプスか否か、ということになるとこれでは不十分。そこでPTP-3というタンパク質にGFP fragmentを結合させる。PTP-3AはLAR/receptor tyrosine phosphatase familyの一種で、プレシナプスに限局しているらしい。すなわち、細胞AにCD4::spGFP1-10、細胞BにPTP-3::spGFP11を発現させた場合、緑色の蛍光が見えるところは細胞Aと細胞Bが近接しており、なおかつ細胞Bのプレシナプスだということになる(細胞Aはポストシナプス)。これはシナプスというだけでなく、投射の方向性も分かる(図1Aの中)。

 最後にプレ、ポストの両側に局在しているタンパク質、neuroligin、に着目。脊椎動物では、neuroliginはどちらかというとポストシナプスに局在し、プレシナプスのneurexinとinteractする。線虫のホモログ[C40C9.5 (nlg-1)]もどちらかというとポストシナプス側に発現しているが、プレシナプスにも発現しているらしい(NLG-1::YFPの分布を観察)。そこでNLG1::spGFP1-10とNLG::spGFP11を別の細胞に発現させたところ、見事に光ったという話。ここでは投射の方向性はわからないが、そこにシナプスがあるということがわかる(図1Aの右)。
 ところでこれはneuroligin自体の局在制御の影響は大丈夫なのでしょうか?「そこにシナプスがある」という時のはともかくとして、「neuroliginのないシナプス」というのがあった場合、そこは光らないのだが…。そんなシナプスは無いの?


 それはともかくとして…これらspGFPを細胞腫特異的なプロモーターで発現させるとある種のneuronとある種のneuronのsynapseを生きたまま可視化することが可能となる。

 例えば図6のA-C。
 HSN細胞(?)でPTP-3A::spGFP11とmCherryを、vulval muscleでCD4::spGFP1-10をそれぞれ発現させる。するとかなり局所的に、具体的にはHSN細胞とvuval muscleのシナプスにおいてのみ、GFPの蛍光が観察される。すなわちGFPの蛍光がシナプスのマーカーとなっている。もちろん線虫は生きたまま。

 D-Fも同様だが、vulval muscleの代わりにVC細胞を使っている。アステリスク部が光っているのははautofluorescenceらしい、他の(CD4::sp1-10を発現している)VC細胞と接着しているのだろう…と一瞬思ったのだが、spGFP1-10がいくらあっても光らないはずなんですよね。ここはなんで光っているのだろうか?これはちゃんと読めばわかるのかな…?


Q.なぜGFPの再構成であってFRETではないのか?

A.おそらく量子収率(?)などを考えると一種類で済ませた方がはるかに蛍光が強いに違いない。また、図にもあるようにmCherryなどを共発現させることを考えると一種類の方が良い。距離的なことはFRETの方が長そうだ…(ただの印象ですが)。


 これは線虫での報告だが、脊椎動物でも実験することが可能。もちろん遺伝学的手法ではなくとも。CA3、CA1の錐体細胞にそれぞれ別のspGFP(CA3錐体細胞側にPTP-3Aのオーソログ結合型)の遺伝子を導入をして、in vivoでシナプスの形成(スパインの形成ではなく)をリアルタイムで観察できるかもしれない。越えるべきハードルは多く、高いが、原理的にはうちでもできる…ハズ。


 よくこんなことが思いつくな、と思ったが、どうやらGFPのreconstitutionというのは2000年あたりからもうあったみたいだ。さらっと見た感じでは二報ほど引かれていた。

Antiparallel Leucine Zipper-Directed Protein Reassembly: Application to the Green Fluorescent Protein
J. Am. Chem. Soc., 122 (23), 5658 -5659, 2000.
Ghosh I,Hamilton A, and Regan L

Combinatorial marking of cells and organelles with reconstituted fluorescent proteins.
Cell. 2004 Oct 1;119(1):137-44.
Zhang S, Ma C, Chalfie M.



余談だが、GFPの発見者は日本人。

Extraction, purification and properties of aequorin, a bioluminescent protein from the luminous hydromedusan, Aequorea.
J Cell Comp Physiol. 1962 Jun;59:223-39.
SHIMOMURA O, JOHNSON FH, SAIGA Y.

『【知の先端】発光生物学者・下村脩さん 緑色蛍光タンパク質を発見 (1/5ページ) - MSN産経ニュース』


2008.03.13追記
『もっと,光を! - ある研究者の脳内開示 - 楽天ブログ(Blog)』よりTBを頂いたらしいが、反映されなかった。こちらから送ってみます。

  1. 2008/02/08(金) 05:10:42|
  2. 論文
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6
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コメント

BiFC

ikettieさん,こんばんは。D論発表はもう終わられたのでしょうか。

さて,上記で紹介されているのはbimolecular fluorescence complementation(BiFC)という技法のことだと思います。最近よく見かけますね。FRETと比較すると結合距離はかなり近くなります。より近接しないとBiFCは成立しません。結合するタンパク同士であれば,BiFCでシグナルを検出することは高確率で可能だそうです。1蛍光ですんで,シグナルの検出もFRETよりも容易ですしね。場合によってはかなり強い蛍光が得られるようです。シグナルが貯まるので。

 ところで,上記の論文は「シナプスの形成する神経同士の組み合わせを検出する」ことが目的なのでしょうか?シグナルが貯まる,ということに直結するのですが,BiFCではフラグメント同士が1度結合してしまったら二度と離れません。これがFRETとは決定的に違う点です。本当に動的な現象はBiFCではトレースできないんですね。シナプス形成は「出来たり,消えたり」の非常に動的な現象だと私は思っています。よって,もしシナプス形成の組み合わせではなく,動的な動きをトレースしたというのであれば問題がありますね。

 なにぶん論文を読んでいないので的外れな感想かもしれませんが,こんな印象を私は持ちました。
  1. URL |
  2. 2008/02/08(金) 23:34:22 |
  3. ktatchy #rseK1OTg
  4. [ 編集]

ktatchyさんこんにちは、ご指摘ありがとうございます。

>ところで,上記の論文は「シナプスの形成する神経同士の組み合わせを検出する」ことが目的なのでしょうか?

Summaryより引用

---------------
The identification of synaptic partners is challenging in dense nerve bundles, where many processes occupy regions beneath the resolution of conventional light microscopy.
(中略)
GRASP may prove particularly useful for defining connectivity in complex nervous systems.
---------------

ということなので、シナプスの相手を検出することが目的だと思います。ただ、神経同士だけではなく、末梢(運動神経と筋肉など)についても行っています。また、ライブイメージングなどではなく、マッピングが主張みたいです。

>シグナルが貯まる,ということに直結するのですが,BiFCではフラグメント同士が1度結合してしまったら二度と離れません。これがFRETとは決定的に違う点です。本当に動的な現象はBiFCではトレースできないんですね。シナプス形成は「出来たり,消えたり」の非常に動的な現象だと私は思っています。よって,もしシナプス形成の組み合わせではなく,動的な動きをトレースしたというのであれば問題がありますね。

 BiFCという単語(というかこの手法)を全く知りませんでした。当然一度結合してしまうと離れない、ということも知りませんでしたが、仰る通り、これはかなりクリティカルな点だと思います。これでは動的なものの解析はできませんね。それどころかシナプスの動き・柔軟性まで阻害してしまいそうな気もします。
 本論ではその点について全く図はなく、シナプスの形成をリアルタイムで…は全て私の妄想です(^^;)。まあ応用できたら面白そうかと思ったのですが、ちょっと無理そうですね。

 博論はおかげ様でなんとかなりました…あまり思い出したくない出来事(>_<)ですが、忘れてもいけないことかと思っています。
  1. URL |
  2. 2008/02/09(土) 14:10:45 |
  3. ikettie #OZLGmE/2
  4. [ 編集]

はじめまして

本日アップした私のブログと内容が良くリンクしていましたので,トラックバックを
送信させていただいております。
  1. URL |
  2. 2008/03/13(木) 07:59:42 |
  3. すいしぇ #-
  4. [ 編集]

すいしぇ さんはじめまして。
トラックバックに関しては記事へのリンクがなければできない仕様にしてあります。
申し訳ありません。

『もっと,光を! - ある研究者の脳内開示 - 楽天ブログ(Blog)』を拝読いたしましたが、非常に参考になりました。
こちらからTB送らせていただきます。

  1. URL |
  2. 2008/03/13(木) 21:30:47 |
  3. ikettie #OZLGmE/2
  4. [ 編集]

ありがとうございます

わざわざありがとうございます。
どうりで,こちらのTBに表示されないと思っていました(^^;)。
よろしければ,またご訪問下さい。
  1. URL |
  2. 2008/03/14(金) 10:29:26 |
  3. すいしぇ #-
  4. [ 編集]

すいしぇさんこんばんは。
こちらこそこれからもよろしくお願いします。
  1. URL |
  2. 2008/03/14(金) 23:00:03 |
  3. ikettie #OZLGmE/2
  4. [ 編集]

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