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薬の効き目と科学の不確実性

 先週の後半からおかしかったのだが、週末に完全に風邪をひいた(ヘンな表現だ)。微熱と若干の咳と鼻水。ちょっと思考停止状態です。
 仕事が全くはかどらない(>_<)



『コレステロール低下薬で大論争 (BusinessWeek):NBonline(日経ビジネス オンライン)』(20080128)

 薬、疾患の種類にもよるが、薬を服用している人数に対し、実際に「効果」が認められる人数の数は思いのほか少ないものもある。治療必要例数(NNT)という指数は知らなかったが、非常に興味深い。

例えば胃潰瘍の原因となるピロリ菌を除去する抗生物質治療の場合、NNTは1.1である。11人に投与すると10人が治癒する計算だ。NNTが低ければ、多くの患者が治療効果を期待できることになる。
(本文より)


ビッグ・ファーマ―製薬会社の真実  上記の抗生物質の場合はNNTが1.1だが、statinには100を越えるものもあるらしい。実際に効くか効かないは、現時点では、まだ試さないと分からないとしか言い様がないのだと思う。世の中は全て確率ですから…とか言っていると怒られそうだが。本文でも述べられているが、むしろ表現方法に問題がある。「○○の特効薬」などと言う表現だと誤解を生んでいそう。疾患に対してなら誰でも効きそうな印象を受ける。

 似たような話は基礎科学でも結構あって、原著論文、総説、プレスリリースなどで、あたかもclearに分かったように書いてあることも、結構眉唾もの*1だったりする。


 それはともかくとしてこの記事に出てくるリャオ氏の書いた総説:

Does it matter whether or not a lipid-lowering agent inhibits Rho kinase?
Curr Atheroscler Rep. 2007 Nov;9(5):384-8.
Liao JK.


 StatinがRho-kinaseを阻害する話は他にもあるようだが、そのメカニズムは? HMG-CoA reductaseの阻害作用に因るのか、それとも別の要因か?むしろそちらの方が気になったのでちょっと調べてみたところ、

Small-molecule therapies for cardiac hypertrophy: moving beneath the cell surface.
Nat Rev Drug Discov. 2007 Aug;6(8):617-35.
McKinsey TA, Kass DA.

の図3を見る限り、どうやら直接作用らしい(これも総説からの引用なので断定するのはまずいのですが)。コレステロールの低下はHMG-CoA reductaseの阻害に因るものだろうが、心臓疾患に効くのはこちらの作用かも知れないのですね。


 「確率」などと言われても薬を使う側の人間としては困ってしまうが、「個人差がある」ならまだ納得できるかな。でも結局のところ、そういうものだとしか言いようがないのだと思う。

科学は不確かだ!
 ファインマンさんの本。『科学は不確かだ!』
 学会などで、○○を証明した、というような調子で言ってしまう人もいるが、結構怖い。もちろんプレゼンはプレゼンでアピールしなければならないので仕方ないのかもしれない。
 しかし、実験結果は、それはそれで事実なのだが、それが「真理」か否かは解かり得ない(「極めて確からしい」などということはありうるが「絶対に正しい」と言い切ることは絶対にできない)。不完全な人間が考案したものだもの、不完全だよ、というのはともかくとして、「科学の限界」を謙虚に認識しつつもそれによって萎縮することなく、今後も発展に携わることが出来れば…ね。

*1
まあ「眉唾」は言い過ぎだけど
  1. 2008/01/28(月) 23:22:16|
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