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単為発生

 ついこの前単為発生のことを書いたばかりだが、東京農大の河野友宏先生のところから論文がでた。ニュースにもなっている。
 ここでは時事通信社から

卵子だけから子、成功率3割=マウス遺伝子操作、実用水準に-東京農大
 マウスの子を雄の関与なく、卵子だけから誕生させることに2004年、世界で初めて成功したと発表した東京農業大の河野友宏教授らが、この遺伝子操作技術を改良し、正常な成体まで成長する割合を0.5%から約30%まで高めた。米科学誌ネイチャー・バイオテクノロジーの電子版に20日発表した。成功率は体外受精に近く、実用的な水準とみられる。
(中略)
 研究成果は、なぜ雌雄による生殖に進化したのか、その理由の解明につながるとともに、優秀な雌が必要な乳牛などの効率的繁殖に応用が期待される。


元論文はこちら。
High-frequency generation of viable mice from engineered bi-maternal embryos
Manabu Kawahara, Qiong Wu, Nozomi Takahashi, Shinnosuke Morita, Kaori Yamada, Mitsuteru Ito, Anne C Ferguson-Smith & Tomohiro Kono
Nature Biotechnology Advanced online publication

前報がこちら。
Birth of parthenogenetic mice that can develop to adulthood.
Kono T, Obata Y, Wu Q, Niwa K, Ono Y, Yamamoto Y, Park ES, Seo JS, Ogawa H.
Nature. 2004 Apr 22;428(6985):860-4.

 前報に関しては結構過激な見出しをつけている新聞もあり、人民網日文版では「マウス妊娠にオス不要?卵子2つでメス誕生 東京農大」と報じている。「?」をつけているとは言えこれは言い過ぎだろう。

 今回の論文は効率を実用的なレベルまであげたということを報告している(と思う)。
 単為発生と言うものをイマイチ理解していなかったのだが、わかりやすいページがあった。
<単為発生マウスの作製とクローンマウスとの比較>

 クローンマウスとの違いが分かりやすい。ただ、これはあくまでも実験的な単為発生マウスの場合。自然界における単為発生(哺乳類では未確認)に関しては、メス同士の交尾など無いため全てメスのクローンになる、と思っていた。結局Y染色体(sry: Sex-determining Region Y)が無いためオスは生まれようもない。

 しかし実際にはそうではないのかも。

コモドオオトカゲがオスと交配せずに単為生殖
コモドドラゴンとも呼ばれる世界最大の大トカゲであるコモドオオトカゲであるが、CNN Japanによれば、英国の動物園で飼育されているメスのコモドオオトカゲが、オスと交配せずに単為生殖していたことが判明したらしい。孵化するのは、このクリスマス前後になる見込み。単為生殖で生まれるトカゲはオスになるとのことで、メス1匹がいれば、生まれたオスと交配することで子孫を増やせるということだ。


 ということでメスのトカゲが単為生殖した場合でもオスが生まれる。これが何故なのか意味不明だったが、この反証から単為生殖により生まれてくる個体は必ずしもメスが生まれるわけではない、と思っていた。しかし爬虫類と哺乳類の性決定機構は全く違うので、一概には言えないらしい。爬虫類や魚類は環境要因(産卵場所の気温や群の構成員)により性が変化・決定するらしい。そういえばクマノミなどは成体が性転換する。このトカゲに関しては、生まれてくるトカゲは母個体と全く遺伝子を持つのだろう、オスではあるが。

-------------------------------------

結局良く分からない。

 マウスの場合、実験上単為生殖で生まれてきた個体は全てメス。なぜなら卵(遺伝子)を提供する二匹のマウスの遺伝子を持っており(これら二匹の「子」であるという理解)、Y染色体が存在しないから。またそのことから決して母個体(産みの母)のクローンではない。
 一方自然界においては哺乳類の単為発生はまだ報告が無い。しかし仮に発見されたとしたら、性が遺伝子レベルで決定される以上、生まれてくるのは全てメス、というよりは産みの母と同じ遺伝子を持つ。

でいいのでしょうか(terminologyが全く分かっていないので誤りの指摘歓迎です)。

 
  1. 2007/08/20(月) 15:34:55|
  2. 論文
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コメント

河野先生の論文について

この論文私も読んだのですが、supplemental figureのIPAのネットワーク図(supple4-7)のところがいまひとつわかりません。この図はdouble deletion bi-maternal embryo(Δdouble ng/fg) とch7 deletion bi-maternal embryo (Δ7 ng/fg)もしくはch12 deletion bi-maternal embryo (Δ12 ng/fg)で異なる遺伝子発現を比べているようなのですが、図の読み方もわかりませんし、なぜdoubleとch7(またはch12) との違いを比べるのかよくわかりません。。。。
もしお分かりでしたら教えてください。
  1. URL |
  2. 2007/10/11(木) 04:25:54 |
  3. 初心者 #-
  4. [ 編集]

初心者さん初めまして、コメントありがとうございます。
記事を読んでいただければご理解いただけるかと思いますが、私は素人なのでご希望には添えないかと思います。
とりあえず分かりそうな範囲で書いてみますが、正しいかどうかについては保証はできません。


まずIPAの図についてですが、Supplemental Figure 4のlegendに説明がありました。

・この図は定量的RT-PCRにより発現量の上昇、低下をみている。
・ピンクが発現上昇、緑が発現低下。
・節は遺伝子、もしくは遺伝子の産物であり、「関係」があるものについては線で結んである。
・「関係」というのはなんらかのbiological relationshipもしくはphysical interactionがあるもの。線の色や点線などについては良く分かりません。
・線に書いてある"E"や"A"などの文字はそのrelationshipがどのようなものかを表している。具体的には…
Aはactivation/deactivation
RBはregulation of binding
PRはprotein-mRNA binding
PPはprotein-protein binding
PDはprotein-DNA binding
Eはexpression
Iはinhibition
Lはproteolysis
Mはbiochemical modification
Oはohter
Pはphosphorylation/dephosphorylation
Tはtranscription
Loはlocalization
など。

・節に書いてある数字は変化の度合い(何倍変化したのか)。

・形(丸や菱形)はその遺伝子がどのような機能を持っているか。例えばSuppl. Fig. 4のIRF1やKLF6、HOXA9は全て背後が楕円です。また、ちょっと調べてみたところ全て転写調節因子のようです。


次になぜΔdoubleとΔch7、Δch12の比較を行うのかについてですが、これはマウスの作成法に鍵があると思います。

前報(Nature. 2004 Apr 22;428(6985):860-4.)の方法ではch7のH19-DMRを含む13-kbをdeletionしたngΔch7 oocyteを用いて単為発生に成功しています。
しかし、この方法では効率が悪い(0.5% recovery)、ということで、Dlk1-Dio3 intergenic germline-derived (IG)-DMR を含む領域もdeletionしたもの(Δch12)も作り、かけあわせた(これがΔdoubleです)、というのが今回の論文です。

そして、その操作によりどの程度遺伝子発現に影響があるか、ということを調べたのだと思います。

本文より

"To explore the global change of gene expression caused by the correction of paternally methylated imprinted genes on chromosomes 7 and 12, we first characterized the expressed genes in the ngΔDouble/fg bi-maternal fetuses in comparison with the other three types?the ngΔch7/fg, ngΔch12/fg bi-maternal and wild-type fetuses?at embryonic day 12.5 (E12.5) and E15.5, using the Affymetrix Mouse Genome 430 2.0 Array (Fig. 3a)."

ということで(?)、Suppl. Fig. 4~7の基となっているのは本論のFig.3です。
http://www.nature.com/nbt/journal/v25/n9/fig_tab/nbt1331_F3.html

そしてmanipulateしたのがch7とch12だったため(これはH19-DMRがch7上に、Dlk1-Dio3 intergenic germline-derived (IG)-DMRがch12上にあるため)にそれらに着目しているのだと思います。
発現量に変化があった遺伝子のうち、ch12上にあるものがSuppl. Fig. 4 (E12.5)とSullp. Fig. 6 (E15.5)、ch7上にあるものがSuppl. Fig. 5 (E12.5)とSuppl. Fig. 7 (E15.5)です。
なおこれらのSuppl. Fig. では"the genes that do not play an important role in terms of development"は除かれているようです。逆に言えば、ここに書いてある遺伝子はdevelopmentに重要な役割を担っているのだと思います。

申し訳ありませんが、この程度にしか分かりませんでした。
  1. URL |
  2. 2007/10/11(木) 17:43:39 |
  3. ikettie #OZLGmE/2
  4. [ 編集]

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卵子だけで子マウス成功率3割

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  1. 2007/08/20(月) 17:01:12 |
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