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細胞種特異的な抑制

論文メモ。

From synapse to behavior: rapid modulation of defined neuronal types with engineered GABA(A) receptors.
Nat Neurosci. 2007 Jul;10(7):923-929.
Wulff P, Goetz T, Leppa E, Linden AM, Renzi M, Swinny JD, Vekovischeva OY, Sieghart W, Somogyi P, Korpi ER, Farrant M, Wisden W.

 Nature Neuroscienceのtechnical report、図をさらっとしか見ていないが、面白そう。しかし結構手の込んだことをしている。Technical reportなのでその実験系についてメモするのが妥当だろう、と言っても図1に集約される。
 なおzolpidem (ゾルピデム、商品名マイスリー)についてはこちら。昔働いていた薬局では結構処方されていた薬です。

 かなり特殊なマウスを作製しているのだが、その目的として、ある特定の細胞種の活動を抑えてしまおう、ということが挙げられる。ある細胞集団が個体レベルでどのような役割を果たすのか、と言うことに関しては様々な「損傷を与える」という実験系が大きな役割を果たしてきた。しかし従来の「破壊実験(細胞種特異的なgenetic ablationも含む)」では問題点があるのも事実。例えば、「破壊」というのは永続的であり、かつかなり強い条件なのでcompensatoryに働くシステムがあるかもしれない。従って、可逆的、一時的にある特定の細胞集団の活動を抑えることができればより良いシステムとなりうる。
 今回着目したのがGABAA受容体のgamma2 subunitに作用するゾルピデム。ゾルピデムに対する感受性はgamma2 subunitの77番目の残基がフェニルアラニン(F77)であることが必要であり、それをイソロイシンに変えてしまうとゾルピデム非感受性になる。従って、gamma2 subunitがI77であるGABAA受容体を持つマウスを作成すると、そのマウスはゾルピデム非感受性である。さらにある特定の細胞のみで動くプロモーターの下流にgamma2(F77)-GFPを持つマウスと掛け合わせることによりある特定の細胞のみゾルピデム感受性になる。
 例えばL7 promoterは小脳Purkinje cellのみで働くので、Purkinje cellのみゾルピデム感受性になる。すなわちゾルピデム投与により、Purkinje cellの活動のみを抑制することができる。後は実際の発現部位やmIPSC、behaviorに対するゾルピデムの作用を見ている。この辺は未読。

 これは別にPurkinje cellだけでなく、色々な細胞種できるのだろう、しかも時期依存的に。色々面白そうなことができそうですが…。

 どうでもいいのだが、なぜゾルピデムにしたのかが分からない。単純に(アミノ酸残基レベルでの)作用部位が分かっている薬物が他にないのならいいのですが。記憶が正しければゾルピデムはベンゾジアゼピン系の薬物同様GABAの作用を増強する、いわゆるモジュレーターとして働く(*1)。従って、GABAの放出が少なくなったりすると、効き辛くなるはず。一方バルビツール系薬物はGABAA受容体のアゴニストとして働く。従って、GABAがあっても無くても作用を示す。単純に抑制が目的ならばバルビツール系の薬物の方が適当だと思うのだが。

(*1)
ゾルピデム自体はシクロピロロン系。




セミが鳴きはじめた。そんなに暑くは無いがもう夏だ。

  1. 2007/07/20(金) 21:15:59|
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