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新規神経栄養因子CDNFは中脳ドーパミンニューロンを保護、救済する(2)

 一昨日の続き。元論文も載せておきます。

Novel neurotrophic factor CDNF protects and rescues midbrain dopamine neurons in vivo
Lindholm P, Voutilainen MH, Laurén J, Peränen J, Leppänen VM, Andressoo JO, Lindahl M, Janhunen S, Kalkkinen N, Timmusk T, Tuominen RK, Saarma M.
Nature. 2007 Jul 5;448(7149):73-7.

CDNF=conserved dopamine neurotrophic factor

CDNFについて…。
 ヒトとマウスではともに187アミノ酸残基から成り、signal peptideがあるが、pro-sequenceは無いと推察される。CDNFをHEK293に強制発現させると培地への放出が確認される。また、システイン残基が8つあるが、ジスルフィド結合の存在も確認される。
 次にCDNFの発現時期、分布について、以下全てマウス。脳では胎生後期からアダルトに至るまで発現が確認される(whole brainでRT-PCR)。アダルトではolfactory bulb、frontal cortex、caudal cortex、striatum、thalamus/hypothalamus、hippocampus、cerebellum、pons/medullaに存在し、hippocampusおよびthalamusに最も多い(文中)。
 MidbrainではE13、E18、P1、P10でも存在する。他の組織に関しては、heart、skeltal muscle、testisに多い、またWesternの結果を見る限り、brainはむしろ少ない。
 アダルトマウスでの免疫染色像。Cortex layer II~IVではNeuNと共局在、すなわち神経細胞に発現している(GFAPまたはS100βなどとの共染は無い)。海馬ではCA1~CA3の錐体細胞、DGの顆粒細胞にある(写真だけではCA3しかわからない)。Striatumでは弱いシグナルしか得られなかった。Substantia nigriaではsolitary cellに発現、solitary cellはTH (Tyrosine Hydroxylase: Dopamine合成に必要な酵素)が無い。Cerebellumではpurkinje cellに存在、またlocus coeruleus (NE neuronの起始核)にもCDNFの発現が認められる。基本的にはcell somaにあるが、それ以上の情報(subcellular localization)に関しては全く触れていない。
 以上がCDNFの発見とその分布に関して、次にCDNFの作用について。
 実験内容は簡単で、6-OHDAをマウスに投与することによりドーパミンニューロンが減る(これはパーキンソン病モデルとしてよく用いられているらしい)。CDNFは6-OHDAの投与前(6時間前、これがprotect)または後(1週間後、これがrescue)に投与する。そして数週間後に行動(アンフェタミン投与によるrotation)、TH positive neuronの数を見ている。するといずれの場合でも6-OHDA投与により引き起こされた「病態」が回復することを示している(GDNFと同程度に)。なお6-OHDA、CDNF、GDNFは全てipsilateral, intrastriatal injectionで対側と比べている。
以上が結果。

・6-OHDAによりdopamine neuronが死んでしまうが、全てのneurotrophinがrescueするわけではない、というか現時点でそのような作用が報告されているのははGDNFおよびneurturin(聞いたことがない…)のみである。また、protectの方はいくつかのneurotrophinがそのような作用を持っているがCDNFは両方(protect、rescue)の作用を持っている。

・GDNFをはじめ、知られているすべてのneurotrophinは末梢神経にも作用を持つ。それが副作用などの問題を引き起こすことも考えられる。しかしCDNFはSCG neuron (P1由来)やmotor neuron (E14 rat由来)、DRG neuron (E14、E15由来)のprimary cultureでsurvival promoting activityは無い。他にもneurite outgrowthには影響なし。これらのことからCDNFはGDNFとはかなり異なる作用、働き方をする。
 これらのassayでは作用が無いというのは良いのだが、skeltal muscle、heart、liverにも大量に発現しているようなので末梢で作用自体はあるのだろう。またPurkinje cellやhippocampal pyramidal neuron、DG granule cellにもあるのでdopamine neuron specificである可能性は低いと思うのだが。受容体については全くの不明の様子でほとんど触れられていない。ただ、作用が同程度でもよりspecificに働くのであれば、色々有望だと思う。

・発達期にdopamine neuronは(他のneuron同様)どんどん死んで行くのだが、その数はGdnfノックアウトマウスと野生型マウスでは特に差はない。従って、他のneurotrophic factorが関与しているのであろう。
 胎生時期にCDNFが発現していることからCDNFがdevelopmental stageにおいてdopamine neuronにneurotrophic factorとして効いている可能性はあるが、現時点では何とも言えない。

・当然パーキンソン病治療としての観点も書いてあるが、この論文自体ではパーキンソン様症状(行動)についての言及は全く無い。なお、どこかで誰かが「論文として出ている時点でもう遅い」と書いていたのをみたような気がする(勿論製薬企業という観点からですが)。
  1. 2007/07/18(水) 19:22:33|
  2. 論文
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