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新規神経栄養因子CDNFは中脳ドーパミンニューロンを保護、救済する(1)

元論文はこちら

Novel neurotrophic factor CDNF protects and rescues midbrain dopamine neurons in vivo
Lindholm P, Voutilainen MH, Laurén J, Peränen J, Leppänen VM, Andressoo JO, Lindahl M, Janhunen S, Kalkkinen N, Timmusk T, Tuominen RK, Saarma M.
Nature. 2007 Jul 5;448(7149):73-7.

先に結果を述べてしまうと主な報告として

・CDNFの発見と発現時期・分布の解明
・CDNFの作用の解明

が挙げられる。なおCDNF=conserved dopamine neurotrophic factorである。「これは新しくない」と勘違いした人(僕です…)、既知だったのはCNTFです。
 それほど難しくない、というか話自体は簡単な論文だが、理解できなかった実験があった。それについてのお勉強。
 まず必要事項としてアンフェタミンの作用機序。いかにもな構造をしているが、ノルアドレナリンとドーパミンの放出促進作用と再取り込み抑制作用がある。
 またパーキンソンモデルマウスの作成には6-OHDA (6-hydroxydopamine)を用いている。6-OHDAはドーパミンおよびノルアドレナリン作動性神経細胞を選択的に除去する。
 良く分からなかったのがFig.3a、3k、4b、いずれも同じ実験系を用いているのでその実験系について。
 6-OHDAを投与したマウスにアンフェタミンを投与し、その行動を見ている。そのマウスの特徴的な行動として"ipsilateral rotation"があり、これを定量している("ipsilateral"なのは、injectionそのものがunilateralなため、だと思う)。これ自体はよく用いられているらしい。
例えば

Amphetamine induced rotation in the assessment of lesions and grafts in the unilateral rat model of Parkinson's disease Amphetamine induced rotation in the assessment of lesions and grafts in the unilateral rat model of Parkinson's disease.
Torres EM, Dunnett SB.
Eur Neuropsychopharmacol. 2007 Feb;17(3):206-14.

などで

In the unilateral rat model of Parkinson's disease (PD), amphetamine induced rotation is widely used as an index of both lesion deficits and of graft-derived recovery


ということらしい。なおrotationがドーパミン依存性であることは納得できる。
 Lesionを受けるとアンフェタミンによるrotationが増え、recoveryするとrotationが減る。これがよく分からなかった。6-OHDA投与でドーパミン、ノルアドレナリン作動性ニューロンが減ってしまうのならば、アンフェタミンにより遊離が促進されるドーパミンの量も減る。当然ドーパミンニューロンがrecoverした場合は遊離されるドーパミンの量が増える。従って6-OHDA群のみ投与した群と6-OHDAを投与し、recoverした群を比べると6-OHDAのみを投与した群ではrotationは減るのではないだろうか?ところが、実際には6-OHDAのみの投与でアンフェタミン投与により惹起されるrotationは増える。

 この原因ではないかと思われるのが"supersensitivity"。分かりやすかった説明がこちらの「第11章 自律神経系」の「自律神経線維を絶たれた器官の感受性の回復、自律神経系の再生」

交感神経の節後線維や交感神経節を摘出して交感神経支配を除いた場合、その標的器官では術後1-2週間のうちにノルアドレナリンやアドレナリンに対する感受性が高まることが知られている。
(中略)
標的器官のアドレナリンに対する感受性が亢進することをsupersensitivityという。この現象はアドレナリン作働性神経系に限らず、コリン作働性神経系でも同様に見られる。


 これは、ある受容体のに対するリガンドが減少(この論文の場合は6-OHDAによりドーパミンが減少する)したとき、受容体を増やすなど感受性を上げることによりinputを維持しようとする(なお、6-OHDAによりDA neuronは減っているが、無くなってはいない)。そこに大量のリガンド(この論文の場合は遊離されたドーパミン)がやってくると強く反応する、という話。それがrecoverした場合と比べてどうなのかは正直よく分からないが。

 ただ、同じような話で良く効くのがレセルピン。プレシナプスのノルアドレナリンが枯渇することによりポストシナプスでのノルアドレナリンに対する感受性が増大する(*1)。

 話をアンフェタミンに戻すとD1、D2いずれのantagonist単独ではrotationは抑えられず、両方を投与した時にのみ抑えられる。

Mechanisms of amphetamine-induced rotation in rats with unilateral intrastriatal grafts of embryonic dopaminergic neurons: a pharmacological and biochemical analysis.
Herman JP, Rouge-Pont F, Le Moal M, Abrous DN. Neuroscience. 1993 Apr;53(4):1083-95.

 当然この論文でも"intrastriatal grafts of embryonic dopaminergic neuron"でamphetamine-induced rotationが減少する。

 イマイチしっくりこないが、どうやらこういう理由によるものだと思う。本論については次回。

(*1)
レセルピン
血圧降下剤として処方されている。
当然だが、副作用として抑うつ作用があると書いてある。よくうつモデルマウスを作成する際にも用いられる。
  1. 2007/07/16(月) 16:45:42|
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